保険代理店に将来性はあるのか?

こんにちは、WILLE BLOGのSHOGOです。

保険代理店には将来性があるのかについて話します。
現在保険を販売できる業態は以下の通りです。

  • 専業保険代理店・・保険販売のみを生業とする。
  • 兼業保険代理店・・自動車販売や不動産販売業の別に保険販売を行う。
  • 生命保険会社の直販・・自社の生命保険のみを販売する。

今回専業代理店にフォーカスを当てます。
なお、私は現在兼業代理店を営みますが、専業代理店に在籍した過去があります。

将来性について語るには、店主目線・従業員目線・対保険会社目線で課題を考える必要があります。
その課題が解決できれば将来性はあるといえます。
しかし、私個人的には残れる専業保険代理店は一握りであると考えています。

保険代理店が抱える課題

店主が抱える課題

保険代理店は法人・個人を問わず存在します。
個人の保険代理店は、法人代理店に吸収されうる動きがあるので今回法人保険代理店とします。

法人保険代理店が抱える課題は以下の通りです。

  • 人材育成と雇用
  • 生命保険販売
  • 合併時の統治

人材育成と雇用

保険代理店の従業員になり保険を販売することは容易なことです。
なぜなら、生損保の募集人試験に合格すれば良いからです。

しかし、人材育成は容易ではありません。
従来の保険代理店は、1人あたりの損害保険保有2,000万円もしくは生命保険連月3件契約ができて一人前です。
保有とは、10万円の自動車保険の契約が200件あったら保有2,000万円といいます。
単純計算で手数料率20%とすると、保有2,000万円で売上400万円です。

この保有2,000万円という数字は何年くらいで到達できるでしょうか?
早い人で3年、遅い人で10年と言われています。
その間、売上はないが給料は支払うという時期になります。
そのため、雇用に対する費用が増大してしまうという課題があります。

ただし保険会社によって、研修期間を用意していることもあります。
2年〜3年の間、保険会社に出向して勉強と契約の実施します。
その期間は保険会社から委託費が支給されるので、見極め期間として利用します。

それなら人材を新たに雇用しなければいいという考えもあるのではないでしょうか?
ここにも人数の条件や、人数がいることで新規開拓ができるため積極的に募集しています。

生命保険販売

保険代理店は従来損害保険のみを扱うものでした。
しかし1996年、自由化により損害保険会社が生命保険を販売できるようになります。

  • 東京海上日動あんしん生命
  • 三井住友海上あいおい生命
  • SONPOひまわり生命

これら生命保険会社は1996年以前は損害保険会社でした。
それにより損害保険のみ取り扱っていた保険代理店にも生命保険を販売するよう勧められました。

生命保険と損害保険の販売方法は全く異なります。
例えば損害保険はニーズが明確なものです。
例えば自動車を買ったとか家を買ったというタイミングで民間の損害保険に入ろうと顧客側が思うことです。
生命保険はニーズが薄いため、ニーズ喚起するところから始まります。

これにより、従来の損害保険のみ取り扱っていた保険代理店は吸収など淘汰されていくことになります。
今後保険代理店に入社を希望する者は、生命保険も同時に販売することを頭に入れておいてください。

合併時の統治

現在、保険会社は保険代理店の数を縮小しようと動いています。
高齢の個人代理店などは既に地域の大型保険代理店に吸収されたことでしょう。

ただ、単純に吸収などによる合併はとても難しいことです。
私も合併に携わったことがあり、また友人の代理店などの話を聞くこともあります。

では、なぜ難しいのか?

  • 従来自由にやっていたのに組織化されることへの不満。
  • 給料構造が変更され、自分の取り分が減ることへの不満。
  • 今まで行っていなかった生命保険販売の指示等による不満。

主にこの3つを現場ではよく聞きます。
この合併は、まだまだ続くと言われています。

予め基準を作成して、それに納得する方を引き受けます。
その基準とは、給料や経費・数字の目標(ノルマ)があたります。

従業員が抱える課題

従業員は法人代理店勤務の者とします。

主な課題は以下の通りです。

  • 契約の獲得
  • 給料交渉と移転
  • 知識習得のための勉強

ひとつひとつ確認しましょう。

契約の獲得

契約自体がとても難しいものです。
損害保険で言えば以下のような方法で契約を獲得します。

  • 親族や知人(イニシャル)
  • 保険会社からの顧客提供
  • 提携先開拓
  • 既存契約者からの紹介

主にこれらの方法がありますが、最初に始めることは親族知人になると思われます。
では、皆様の親族や知人は何人おられるでしょうか?
ここで個人300人、法人100社あるようでしたら幸先のよいスタートとなります。
しかし多くの方はここまで多くありません。

保険会社からの顧客提供もほとんど見込みはありません。
そんな中で損害保険2,000万円を獲得できますか?

給料交渉と移転

保険代理店の給料体系は各々違います。
各保険代理店はそれぞれに給料体系を持っているということです。
固定給でも歩合制でも全く問題ありません。

そして、代理店ごとに保険会社から支給される手数料率は異なります。
A代理店は100%、B代理店は80%といった風に異なります。
この時、損害保険の保有2,000万円でA代理店とB代理店では売上が異なります。
ざっくり保険手数料が20%の場合、A代理店では400万円・B代理店では320万円の売上となります。

皆様はどちらの代理店で働きますか?

ここで必要になるのが給料交渉や移転を考えるということです。
また生命保険販売についても手数料率が代理店ごとに異なります。
生命保険販売に力を入れているところは自ずと手数料率が高くなります。

知識習得のための勉強

保険募集を始める際に絶対に必要な資格は、募集人資格です。
この試験は9割が合格するとされるとても簡単な試験です。

しかし、募集人試験の後にも損害保険・生命保険でそれぞれ資格があります。
特に損害保険の損保大学試験や生命保険の生保大学試験は難しいです。
ただしその勉強をすると自ずと知識が生成されます。

ここから派生して、FP資格を取得するルートがおすすめです。
NPO法人  日本FP協会 のFP技能士試験2級、一般社団法人  金融財政事情研究会のAFP資格などです。
FP資格があるから食べていけるわけではないので、結局営業活動は変わりませんが知識量は多くなります。

特に金融庁からの公的年金の情報提供を求めるようになるので最低限必要な知識となります。

対保険会社への課題

保険会社と保険代理店の関係は、いわゆるメーカーと流通のような関係です。
保険会社がPanasonic、保険代理店がビックカメラというイメージです。

ただしそこには決定的な違いがあります。それは価格競争ができないことです。
ビックカメラと街のパパママショップでは金額が違いますよね?
保険代理店は大小問わず保険料は同等となります。

これからの対保険会社の課題は以下のようなことがあります。

  • 規模(保有や増収)
  • 組織化
  • コンプライアンス

規模(保有や増収)

保有は既に契約済みの数量を指し、増収は1年間で増えた数字を指します。
保有についての基準は損害保険2億円、生命保険年間20世帯が最低条件といえます。
増収については、単純に保有だけを持っていても減収してしまいます。

例えば、自動車保険6S等級で20万円だった保険料が事故なしでは翌年12万円ほどになります。
もしくは年齢条件・免許の色がゴールドなどで保険料は少なくなります。
契約者にとってはとても嬉しいことですが、上記の例だと8万円減収となります。

つまり減収8万円を埋めるために新規契約や複数種目の提案などが必要となります。
複数種目とは、自動車保険のみ担当しているが火災保険も提案するというイメージです。

保有の2億円という数字は、一人前である2,000万円保有者が10人いるということになります。
1人で2億円保有する鉄人は全くおりません。
このことから、新人を採用して人数の規模も考えていかなければなりません。

組織化

保険会社と保険代理店の関係はここ20年で大きく変化しました。
それは保険会社が保険代理店に求める像が明確になったことです。

一番明確になったことは、保険代理店内部ですべて完結してください、というものです。
損害保険は代理業のため、契約の締結・計上作業まで保険代理店内部でできます。
そこで事務員を雇用することを代理店側は始めます。
さらに事故の担当を雇用するようになり組織化が始まりました。

営業担当が事務作業をすることは悪いことではありませんが、事務担当がいることが保険会社の指標となったのです。
事務担当は直接的な売上は出せません。
ここで営業担当の売上から事務担当の給料を捻出することになります。
3人の代理店で、それぞれが歩合でやっていたらどうなるでしょうか?
一人あたりの取り分が減ります。今まで90%だったものが70%になるでしょう。

それでも事務作業におけるミスがなくなることで、営業担当は営業に特化できるというメリットもあります。
今現在事務担当のいない代理店は、吸収される側になりえます。

コンプライアンス

言わずもがな、法令遵守のことです。
保険会社・保険代理店ともに金融庁の管轄です。
そして保険業法という特殊な法律を順守することになります。

保険業法300条は保険販売に関わる方なら知っていると思います。
特に虚偽や不利益になることを禁じています。

このコンプライアンスを保険代理店内でも研修することになっています。
従業員が違反した場合、最悪代理店自体が募集できなくなる可能性もあるため慎重にならざるを得ません。

まとめ

この先これらをすべてクリアした保険代理店のみが生き残ると言われています。
保険会社は保険代理店の数を縮小したいということは事実です。

実は高齢1人代理店などの吸収は既に終わっているもしくは現在行っています。
そして若い1人代理店もそのうちメスが入ると言われています。

今後の保険代理店の生き残り方は以下の3つとなります。

  • 自社を吸収する側の代理店にする。
  • 吸収してくれる代理店を探し、合併する。
  • 兼業代理店になる。

もちろんどの代理店も一番上を目指しています。
店主の課題、従業員の課題、対保険会社の課題の全てをクリアした代理店のみ生き残ります。
そして吸収される側であると、上記課題を徹底することになります。

決して簡単な事業ではありません。
そしてこの現状を知らずに簡単に入社できてしまう状況に問題があると言わざるをえません。

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